自戦記 第6局 練習対局(対中飛車・5筋位取り)
(掲載日、令和2年3月31日・火)
対局日 令和2年1月① 持ち時間無制限
(会場 宇都宮将棋センター)
(先手)二段 小学六年男子
(後手)五段 門屋 良和(宇都宮将棋センター)
初手からの指し手(横へ読んでいく)
▲5六歩 △8四歩 ▲7六歩 △3四歩 ▲5五歩 △6二銀
▲5八飛(途中図) △4二玉 ▲4八玉 △5二金右
▲3八玉 △3二玉 ▲2八玉 △4二銀 ▲7七角 (第1図)
戦型は先手番の小学6年生が、▲5八飛(途中図)と振って得意として
いるゴキゲン中飛車(5筋位取り中飛車)を採用した。
第1図の▲7七角にかえて▲6八銀と上がると、△5四歩(A図)が
あり、▲同歩なら△8八角成で角を取られてしまう。
▲7七角(第1図)は桂にヒモを付けた手である。
第1図からの指し手
△6四歩 ▲6八銀 △6三銀 ▲5七銀 △3三銀
▲5六銀 △4四銀 ▲4六歩 △5四歩 ▲同 歩 △同 銀
▲4五歩 (第2図)
第1図から△6四歩に、▲6八銀から▲5六銀へと銀を進出させていくが、△4四銀▲4六歩△5四歩で、歩の交換ができ後手側十分。
実際、先手側としては△4四銀の時に▲4五歩と銀取りに突ければよいので、少し戻り▲2八玉のところで▲3八玉のままにしておき、▲7七角から▲6八銀と同様の手順に進めれば、間に合う。(B図、▲4五歩)
本譜、▲4五歩で第2図となるが、▲4五歩で▲5五歩の銀取りは
△6五銀(C図)がある。
以下▲同銀(▲4七銀は△7六銀)△同歩に▲3八銀は、△6六歩
(D図)▲同角(▲同歩は△6七銀)△5六歩(E図)となり、▲同飛は
△6五銀の両取り、歩を取らなければ△5五銀か△5七銀の両取り。
第2図からの指し手
△4五同銀右 ▲同 銀 △同 銀 ▲2二角成
△同 玉 ▲5三歩 (第3図)
▲4五歩(第2図)の銀取りには、強く△同銀右と応じて後手側が
一歩得となった。
角交換後の▲5三歩(第3図)の金取りでは、▲5四歩(F図)と打って▲5三歩成を見せるのもある。
しかし、△5六歩▲5三歩成(▲5三角も一考、△同金は▲同歩成)
△同金▲7一角(G図)△5二飛▲6一銀△5一飛▲6二角成△5五角▲5一馬△同金▲8二飛△3二銀(H図)で、後手側が十分。
また、▲5三歩(第3図)に変えもう一つの変化として、▲7一角
(I図)の飛車取りも考えられた。
以下、△7二飛(△9二飛は▲8三銀)▲6一銀△7一飛▲5二銀不成(J図)△5七歩▲4一銀不成(※▲3二金からの詰めろ)△同飛
▲4八飛△4四銀打に、▲5三歩(K図)と打って▲5二歩成を見せる順が有力だった。
第3図からの指し手
△4二金寄 ▲6三角 △4四銀 ▲7一銀 △9二飛
▲8一角成 △5六歩 ▲3八銀 △5五角 ▲7七桂打 △3五歩 ▲1八玉 (第4図)
▲5三歩(第3図)に△4二金寄とかわし、▲6三角は4五の銀取りである。
△4四銀打の守りに▲7一銀△9二飛▲8一角成の飛車取りが一連の
手順で、次に▲8二銀成で飛車を取ることにある。
ところが、これで先手側が優勢とはならない。
△5六歩で先手側の飛車を抑え、▲3八銀(片美濃囲い)に△5五角が
急所の一手。
(※▲3八銀で▲8二銀成の飛車取りも△5五角。また直ぐに▲9二馬と飛車を取るのは△同香で7一銀が遊び駒となり、遊んでいた飛車が持駒の角となるので、飛車角交換は後手側が得となる)
△5五角は△3五歩から△3六歩のコビン攻めと、または△9九角成で香を取りながら馬を作り、△5四香から△5七歩成の狙い。
▲7七桂打は角成を防いだ手であるが、持駒の桂がなくなったのは痛い。
▲7七桂打の他には、①▲9八香(L図)とかわし△9九角成に
▲7九金として桂香を取らぜず、桂を持駒に温存しておくのもあるが、
△5五馬と引き付けられると後手陣は手厚い陣形となり、△3五歩から
△3六歩の攻めがある。
②▲4八飛(M図)もある、狙いは▲4五飛と銀を取って△同銀▲同馬の二枚替え。▲4八飛(M図)には△3三桂▲5八金左(△5七歩成を消す)△3五歩▲1八玉に、△9九角成(N図)から△5五馬と引きつけて、この手順も後手側十分である。
本譜、△3五歩に▲1八玉(第4図)と、角のラインをかわす。
第4図からの指し手
△1四歩 ▲2六歩 △1五歩 ▲2七銀 △2四歩
▲3八金 △3三桂 ▲5九飛 △3二金上 ▲5八金 △4六銀
▲4八金左 △4五銀(第5図)
▲1八玉(第4図)の端玉には△1四歩と端歩を突く。
▲8二銀成の飛車取りなら、△1五歩▲9二成銀△同香▲同馬に
△3六歩(M図)▲同歩△1六歩▲同歩△1七歩(O図)▲同桂(▲同玉は△1九角成)△1六香(P図)と絡んで、この後△2八銀から△1七香成の詰みを狙う。
本譜の▲2六歩から▲2七銀は、△1五歩に端歩に対する受けであった。
△2四歩は玉の懐を広げるのと同時に、いずれ△2五歩▲同歩△2六歩の銀取りの含みを持たせた。
▲3八金で銀冠を完成させ、△3三桂は△2五歩からの攻めに厚みを加える。
▲5九飛では、このタイミングで▲8二銀成と飛車を取りに行きたいが、△同飛▲同馬△4九銀(Q図)の割打ちが面倒。
▲5九飛から△4五銀上(第5図)まで、共に自陣を引き締めた。
第5図からの指し手
▲6三馬 △4四角 ▲2八玉 △5三角 ▲8一馬 △5二飛
▲4七金直 △同銀成 ▲同 金 △4四角 ▲4八銀 △6八金
▲3九飛 △5八金(投了図) まで、72手で門屋五段の勝ち
▲6三馬は▲6二銀成から▲5二歩成の、金取りを目指した手である。
△4四角は▲6二銀成なら△5三金(R図)と歩を払う手を見せつつ、
また、▲6二銀不ならば△2五歩▲同歩△2六歩▲同銀△3六歩(S図)の銀取りを狙った手でもある。
▲2八玉には、△5三角と引いて歩を払いつつ銀取りへ。
▲8一馬に△5二飛となっては、次に△4四角から△5七歩成の攻めが見込めて大勢は決した。先手側に持ち駒の歩が無いのも大きい。
▲4七金直△同銀成▲同金に、△4四角で角と飛車道がいっぺんに通る。
▲4八銀の受けに、△6八金▲3九飛△5八金(投了図)で投了。
投了図からは、先手側に攻める手段もなく、後手側からは△5七歩成
▲同銀△同金▲同金△同飛成と攻めて良い。
本局は先手側の飛車を抑え込まれたのと、後手側の飛車が取れなかったことが大きく影響した一局であった。
令和2年1月①
先手:二段 小学6年生男子
後手:五段 門屋良和
▲5六歩 △8四歩 ▲7六歩 △3四歩 ▲5五歩 △6二銀
▲5八飛 △4二玉 ▲4八玉 △5二金右 ▲3八玉 △3二玉
▲2八玉 △4二銀 ▲7七角 △6四歩 ▲6八銀 △6三銀
▲5七銀 △3三銀 ▲5六銀 △4四銀 ▲4六歩 △5四歩
▲同 歩 △同 銀 ▲4五歩 △同銀右 ▲同 銀 △同 銀
▲2二角成 △同 玉 ▲5三歩 △4二金寄 ▲6三角 △4四銀
▲7一銀 △9二飛 ▲8一角成 △5六歩 ▲3八銀 △5五角
▲7七桂打 △3五歩 ▲1八玉 △1四歩 ▲2六歩 △1五歩
▲2七銀 △2四歩 ▲3八金 △3三桂 ▲5九飛 △3二金上
▲5八金 △4六銀 ▲4八金左 △4五銀 ▲6三馬 △4四角
▲2八玉 △5三角 ▲8一馬 △5二飛 ▲4七金直 △同銀成
▲同 金 △4四角 ▲4八銀 △6八金 ▲3九飛 △5八金
まで、72手で門屋五段の勝ち