宇都宮将棋センター将棋自戦記

                                          (門屋良和)

自戦記 第4局 練習対局   

                 

               (掲載日、令和2年1月2日・木)

 

対局日 令和元年11月 持ち時間無制限

 

   (会場 宇都宮将棋センター)

                  

 

(先手)五段 門屋 良和(宇都宮将棋センター)

   

(後手)初段 小学六年男子

 

 

 

 

初手からの指し手(横へ読んでいく)

 

▲7六歩 △5四歩 ▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △5二飛(途中図)  

▲4八銀 △5五歩 ▲6八玉 △3三角 ▲3六歩 △4二銀  

▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 (第1図) 

 練習対局から小学六年との対戦。

  

 

  小学六年の後手番で始まり、作戦は得意としている△5二飛(途中図)と振ってゴキゲン中飛車へ。

 

 私は▲4六銀(第1図)まで、超速▲3七銀戦法で対抗した。

 

 

第1図からの指し手

      △4四銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲6八銀  △7二玉  

▲7七銀  △8二玉 ▲6六銀 △7二金 ▲5八金右 △5一飛  

▲9六歩  △9四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲3七桂      の (第2図)

 

 

 ▲4六銀(第1図)に、△4四銀と上がり、銀と銀が向かい合う。なお、△5四銀は▲3五歩の仕掛けがある。

 

 

 互いに玉を移動し、▲7七銀から▲6六銀で中央を厚くした。

 

 △7二金では△7二銀もあるが、小学六年は△7二金型を好んで指している。

 

 駒組みが進んで、▲2四歩を突き捨て△同歩に▲3七桂(第2図)と跳ねた。この後、▲4五桂か▲4五銀を狙にしてみた。

 

 

第2図からの指し手

      △3二金 ▲4五桂  △4二角 ▲5五銀左 △同 銀  

▲同 銀 △3三桂  ▲4六歩 △6五銀  (第3図)

 

 

 ▲3七桂(第2図)に△3二金と守る。

 

 ▲4五桂の角取りには△4二角と引く。

 

 なお、△2二角と引くのは、▲2四飛△2三歩▲3四飛(A図)の金取りがあり、この時後手側に歩がないため、△3三歩と守れない。

 

 

 ▲5五銀左△同銀▲同銀に△3三桂は手筋。

 桂の捌きであり、▲同桂成は△同角で、5五の銀取りになる。

 

 本譜、▲4六歩と進めて桂につなげ、△4五桂なら▲同歩と手順に歩が前へ進めることができる。したがって、桂を取らず△6五銀(第3図)から△7六銀を見せて、先手玉に嫌味を付けてきた。

 

第3図からの指し手

▲3五歩 △7六銀 ▲3四歩 △4五桂 ▲同 歩 △7七桂(第4図)

 

 

 △6五銀(第3図)に▲3五歩と突く。△同歩なら▲3四歩(桂取り)

△4五桂▲同歩△7六銀に▲2六飛(B図)の銀取りを考えていた。

 

 ▲3五歩に構わず△7六銀と先手玉に迫り▲3四歩に△4五桂から桂を交換して、△7七桂(第4図)が痛烈であった。

 

第4図からの指し手

▲同 桂  △5五飛  ▲6八桂  △8七銀成 ▲同 玉  △4五飛  

▲5九金寄 △3五飛  ▲2六飛  △3七飛成 ▲5六飛  △3九竜  

▲5三銀  △5五歩  ▲同 飛  △6四銀 (第5図)

 

 △7七桂(第4図)は△5五飛の銀取りを狙っている。

 ▲7七同桂△5五飛に▲6八桂と銀取りに打つ。

 

 △8七銀成はよくある筋であるが、▲同玉に△8五飛の王手ができないので(▲8五同桂がある)、ここは△7七銀成と桂を取り▲同角△7五飛

▲7六歩△4五飛▲1一角成に、△4九飛成(C図)で勝負だった。

 

 △4五飛に▲5九金寄で飛車成を防ぎ、△3五飛に▲2六飛と浮いて飛車の横効きが通ったのは大きい。△3七飛成の飛車取りには▲5六飛で

▲5二飛成を見せる。

 

 △3九竜には▲5三銀と打って角道を止めた。

 ▲5二飛成は何かと△8六銀(王手)の筋が気になってしまう。

 

 △5五歩▲同飛に、△6四銀で第5図となる。

 

第5図からの指し手

▲4二銀成 △5五銀  ▲3二成銀 △1九竜 ▲7八玉  △2九飛  

▲4九歩  △4四香 ▲3七角  △4九香成 ▲5五角  △5九成香

                            (第6図)

 

 △6四銀(第5図)には、▲4二銀成と角を取る。

 

 なお、▲6四同銀成は△同角で、角が急所に来てしまう。

▲5二飛成としても△8六銀▲7八玉△4二金(竜取り)▲5一竜

△1九竜(D図)と香を取られ、ここで▲8七歩と銀取りに打っても

△同銀成▲同玉△8六香(E図)の田楽刺しがある。

 

 ▲4二銀成で角を取った後、△5五銀に▲3二成銀と金を取って二枚替えとなった駒一枚得をした。飛車を後手側に渡したが、その飛車を使う有効な手段が後手側にはない。

 

 △1九竜は落ち着いた手で、香を取って駒を補充した。

 いずれ何かの時に、△8九飛から△8六香などの複合技が考えられる。

 後手側に駒を渡すと、その手段で逆転される可能性が十分にある。

 

 その意味で、▲7八玉と引いたのは先ほどの手段を消しておいた。

 それから、反撃である。

 

 △2九飛は、次に△5九飛成▲同金△同竜の攻めが見えているから、

▲4九歩と打って守る。歩一枚で飛車二枚の働きを抑えておく。

これで十分だ。

 

 △4四香には▲3七角の竜銀の両取りをかける。

 △4九香成には▲5五角と銀を取り、△5九成香(第6図)には構わず

寄せに入る。

 

第6図からの指し手

▲7四桂  △9二玉  ▲8五桂  △5八成香 ▲9三銀  △同 桂  

▲同桂成  △同 玉  ▲8五桂  △8四玉  ▲6六角上 △7五桂  

▲同 角  △7四玉  ▲8六桂  △7五玉  ▲7六銀(投了図) 

まで、91手で門屋五段の勝ち

 

 

 △5九成香(第6図)に▲7四桂(王手)から寄せる。

 △9二玉に▲8五桂跳ねがピッタシの詰めろ。

 

 △5八成香に、▲9三銀と打ち△同桂▲同桂成と進行。

 

 ここで△同玉と成桂を取ったが、△8一玉は以下の手順で詰み。

▲8二銀△同銀▲同桂成△同金▲同成桂△同玉▲7四桂(F図)△9二玉▲9三金△同玉▲6六角上(G図)△8四歩▲8二銀△8三玉▲7三角成△9二玉▲9三金(H図)まで。

 

 △9三同玉には▲8五桂△8四玉▲6六角上と出る。

 △8五玉と桂を取ると、▲7五金△8六玉▲7六金までの詰み。

 

 本譜は、△7五桂を犠打にして▲同角に△7四玉とかわすが、▲8六桂から詰んでいる。

 

 △7五玉で△6五玉は▲5六銀と打ち

  ①△5四玉は▲4五金(I図)まで。

  ②△7五玉は▲7六金△8四玉▲6六角(J図)まで。

 

 投了図以下は△8六玉に▲8七金。△8四玉も▲7五金まで。

 

 小学六年生は、中盤△7七桂でリードを取ったが、その後の銀の成り捨てが非常に惜しまれる一戦であった。

 

 

2019年11月

先手:門屋良和 後手:小学六年男子

 

▲7六歩  △5四歩  ▲2六歩  △3四歩  ▲2五歩  △5二飛  

▲4八銀  △5五歩  ▲6八玉  △3三角  ▲3六歩  △4二銀  

▲3七銀  △5三銀  ▲4六銀  △4四銀  ▲7八玉  △6二玉  

▲6八銀  △7二玉  ▲7七銀  △8二玉  ▲6六銀  △7二金  

▲5八金右 △5一飛  ▲9六歩  △9四歩  ▲2四歩  △同 歩  

▲3七桂  △3二金  ▲4五桂  △4二角  ▲5五銀左 △同 銀  

▲同 銀  △3三桂  ▲4六歩  △6五銀  ▲3五歩  △7六銀  

▲3四歩  △4五桂  ▲同 歩  △7七桂  ▲同 桂  △5五飛  

▲6八桂  △8七銀成 ▲同 玉  △4五飛  ▲5九金寄 △3五飛  

▲2六飛  △3七飛成 ▲5六飛  △3九竜  ▲5三銀  △5五歩  

▲同 飛  △6四銀  ▲4二銀成 △5五銀  ▲3二成銀 △1九竜  

▲7八玉  △2九飛  ▲4九歩  △4四香  ▲3七角  △4九香成 

▲5五角  △5九成香 ▲7四桂  △9二玉  ▲8五桂  △5八成香 

▲9三銀  △同 桂  ▲同桂成  △同 玉  ▲8五桂  △8四玉  

▲6六角上 △7五桂  ▲同 角  △7四玉  ▲8六桂  △7五玉  

▲7六銀  

 まで、91手で門屋五段の勝ち